フロイトについて・再生と破壊

社会学的考察

遡ること1932年、国際連盟はアインシュタインへ、今の世の中で最も大事だと思える事柄を選び、意見を交換したい相手と手紙を交換してください、という依頼をしました。アインシュタインが相手に選んだのは、精神学者のジグムント・フロイトです。※「ひとはなぜ戦争をするのか」講談社学術文庫


背景としてはアインシュタインとフロイトはユダヤ人、当時ナチスの勃興期にあるドイツにて、ナチス迫害により国を追われるかもしれない時期でした。ちなみフロイトの弟子であったユングは神秘思想やオカルトの研究も密かにしていて、能天気なセレブに人気があったんですよね、予約に一年待ちだとか。現在は心理占星術やユング占星術に影響を与えるユングは、今でいうところのオタク。日本ではユング研究の第一人である故・河合隼雄さんもユング自身に対しては呆れたり批判的だったりしています。


アインシュタインの理性を高めてきた人間がなぜ戦争を続けるのか?という疑問に、フロイトは人間は生まれながらに破壊の衝動を無意識に備え、それを繰り返す利己的な存在であると答えます。破壊と安定の関係は複雑ですよね。廃墟やスクラップを壊したい衝動とか、また流行は巡ることも、エコとは本来無縁な生物じゃないのか?と思わせます。しかし文化が発展すれば理性的になり洗練される。もう一つは人が戦争に怒りを感じる情動や共感性が、抑止力に繋がると言っています。


フロイトは無意識の発表において何にでも性的欲求に結びつけたり、男性もヒステリーを起こすなど物議を起こしましたし、身近にいればウザいタイプに違いないと思わせるフロイトの写真。しかし現在をちゃんと予測していて、「人は今後、文化の発展により女性が学識を持つようになれば、社会進出をし、非婚化が進むだろう。」と現代の非婚化の状況を、おおよそ90年前に言及するなど侮れない洞察力を持つ人でもありました。