私は窓を開け、観葉植物の置き場所を変え、クローゼットの整理をした。
日常に少し手を入れるだけで落ち着いた気分になり、久しぶりに映画を観ようと思った。
最近は、ふとしたことで過去の記憶を思い出す。
今日の気分は『ROMA/ローマ』だった。
床のタイルに撒かれた水が、
穏やかな波のようにゆっくりと、画面を越えて流れてくる。
大きな出来事が起きるわけでもなく、
1970年代のメキシコの風景が、静かなモノクロで流れていく。
家族の声、食器の音、子供たちの気配。
その間を縫うように、まだ若い子守の女性が、家族の世話を引き受けている。
音楽もなく静かで、そのなだらかさに浸りながら、私は眠ってしまった。
私にとって『ROMA/ローマ』は、遠い記憶の原風景が少し滲んでいる。
記憶はいつも輪郭が曖昧で、
気づけば生活の音に混ざって戻ってくる。
今日のカードは、
女教皇
言葉にならない感情や、
静かな時間の中にあるものを、
ただ黙って見つめているカード。
今日は、
そんなモノクロの時間が心地よかった。

