その日、占い館を訪れたのは20代の女性。
最初は大阪のテーマパークで働き、東京のテーマパークに転職をし、やっとそこで正社員になった人だった。
そして久しぶりに長期休暇で大阪に戻っていたのだったが、明日は慌ただしくまた東京に戻る。
最初から浮かない顔をしたその女性の相談は、
「転職するか迷っています。」
というものだった。
なんでやろう、もったいないな、と私は思いながら、その表情からは疲れが伝わってきた。
ひとまず私はタロットで占うことにした。
最初の一枚は「愚者」のカード、今どんな状況にいるかという「現状の位置」に出たカードは「カップの4」だった。

このカードは小高い丘の上で一人で内面に向き合い、自分について考えているカードだ。自分の人生、これでいいんだろうか?と考えているような気がした。
ただ別の意味では、今すぐ転職したいと意気込んでいるカードでもない。
私は、東京ではどんな感じで過ごしているのか聞いた。
彼女は、東京では時々友人とも遊ぶが、大阪より友人は少ないと話していた。
そして最後に話した。
「だけど最近は疲れていて、休みの日には寝てばかりです。」
やはり今すぐ転職を決めようとする人の行動には見えなかった。
もしかしたら、今、日々に追われることで、自由な楽しみ方を忘れてしまっているのかもしれない。
願いが叶った後というものは、案外難しいものだ。
次に何を目指せばいいのかわからなくなる。
私は少し考えて背中を押した。「大阪にはまたいつでも戻って来れる。」
彼女は転職したいのではなく、今は少し立ち止まる時間が欲しかったのかもしれない。

