気になっていたメモを読み返した。
ある管理職の女性を占った時のものだった。
その女性はデザイナー。
管理職になってからは管理業務ばかりで、今はデザインはしていない。
自分の上には社長だけ。
彼女の最初のひとことが印象に残っている。
「いい人ばっかりで人間関係には困っていないんですけど、仕事が増えるんです。」
いい人ばかりなのに、仕事が増える?
疑問を残してタロットを展開した。
その人の位置には「愚者」の逆位置が出た。
愚者は自由を表すカードだ。
でも逆になると崖から落ちる。
彼女は独立も考えていると言っていた。
だから私は、「独立への不安」が現れているのだと思った。
しかしメモを読み返しながら、別の景色が見え出した。
彼女の本業はデザイナー。
管理職になったら裁量は増えて、人を動かす立場になる。
一般的には自由を手に入れたように見える。
それでも彼女は自由ではなかった。
本当に欲しかった自由は、人を管理する自由ではなく、自分の手で何かを生み出す自由だろうと思う。
彼女は「自由がない」のではなく、
「縛られたくない」のだった。
四柱推命でも、人の役割を引き受けやすい命式だった。
今年は自分の引き出しを開け、一つひとつ手札を見直すような時期だった。
だから私は、「独立したら経験できないことを、今経験している時期なのかもしれません」と伝えた。
未来に出たカードは「女帝」。
悪い流れではなかった。
私はタロットは未来を当てる道具というより、その人が今どこに立っているのかを映しだす鏡だと思っている。
時には本人も言葉にできていない問いを、一枚のカードが静かに映し出すことがある。
あの日の「愚者」は、独立への不安ではなく、「自由とは何か」という彼女自身の問いを映していたのかもしれない。
