娘の部屋に残された本

思索

娘が同棲を始めて5ヶ月が経った。

当初は「帰ってくるかもしれない」と話していたので娘も、そろそろ落ち着いてきた。

もう帰ってこないな、そう思った私は、娘の部屋を片付けることにした。

これはゴミか?と思うものはたくさんあった。

クローゼットの片隅のダンボールには、大学の教科書が詰め込まれていた。

 

部屋には娘が使っていた雑貨が主だったけれど、その中には大学を卒業してから読んだと思われる本が残されていた。

「珍しいな、本を読まない子だったのに。」

そう思いながらも私は、その中の小説に目が止まった。

「手紙屋」

帯に書かれていたのは、

「10通の手紙が『働く意味』を教えてくれる。」

その言葉が妙に引っかかり、その本だけをリビングに移動させた。

 

他の本はといえば、

お金の本

英語、韓国語

通関士

ホームページビルダー

そして編み物の本。

一見バラバラに見えるたけど、そこには共通しているものがあった。

 

振り返ると娘は、編み物の先生になろうとしていた時期があった。

学部に関係ない仕事を選んだ娘。

自分を振り返ってみても、読んだ本が必ずしも未来につながるとは限らない。

しかしその時々に選んだ一冊が、今の自分を確実に作っている。

 

リビングのテーブルには『手紙屋』が置かれたままになっている。

暇になったら、いや、そうではないな。

気持ちが残っているうちに、読もうと考えている。