まだ譲れない人

タロット

今朝、母親から電話があった。

私は今日、のんびりNetflixでも観ようと思っていた。

母は、友人と出かけるために夏服を買いに行きたいと言って、私を誘った。

急遽、待ち合わせをした。

母は North Face の軽いジャンパースカートを気に入った。

思いのほか、早く決まった。

だけど私は、服がないわけではないだろう、と思っていた。

少し前、母は長年大切にしてきたフレアスカートを、私に譲ってくれたからだ。

高齢になり、背中が少し曲がり始めた母は、そのスカートを履くと少し重くなっていた。

形も綺麗で、私は素直に嬉しかった。

ところが後日、母はこう言った。

「まだ着れるから、ほんまに着れんようになったら渡すわ」

あぁ、やっぱりまだ手放せへんのやな、と思った。

だから今日、逆に不思議だった。

なぜ、あのスカートを履いてこなかったんだろう。

母の一連の様子は、タロットでいう「ペンタクル・クィーン」だった。

物の価値を知っていて、長く使い、

簡単には手放さない。

ただの服ではなく、

時間や記憶もついでに持っている人。

もしかしたら母は、

私がいつかあのスカートを、セカストに持っていく未来まで、

想像しているのかもしれない。