付き合っている彼女とは、ひと月ほど前から距離を置いているという。
彼女は仕事が忙しく、疲れやプレッシャーを抱えていた。彼が家事を手伝うこともあったが、彼女は次第に、彼と会うことにも疲れを感じるようになっていた。
そして二人は、しばらく距離を置くことになった。
しかし男性は時間が掛かっても、いつまででも待つつもりでいた。
ひと月少し経ったある日、彼女から「自分なりに答えを出した」と連絡があり、二人は会うことになった。
男性が占いに来られたのは、まさに彼女に会うその日だった。
まず彼女を見る
私はいつもタロット鑑定の最初では、相談者自身に大アルカナからカードを引いてもらう。
その一枚を、その相談を考える上での大きなテーマとして捉えている。
この日、男性が引いたのは「女帝」だった。
女帝は女性を表すカードでもあるが、今回は、まさに彼女だ。
ひと月経って、彼女の疲れは回復したのだろうか。
彼女は今、どんな気持ちでいるのだろうか。
そして「自分なりに出した答え」とはどんな状況を示しているのだろうか。
彼は自分の思いを伝えることについては、すでに別れを告げられるのではないかという不安を持っていたし、まず彼女の今の様子を見ることが先だと思った。
彼はずっと待っていたのだから、自分の気持ちを伝えたいはず。
だけど相手を思うということは、自分の気持ちを伝えることだけとは限らない。
相手の状態を見ること。
相手の話を聞くこと。
この日の女帝は、そんな関わり方を勧めているように思えた。
二人が見ていたものは少し違う
スプレッドを展開すると、彼女の位置には「ペンタクルのクイーン」、男性の位置には「恋人」。
二人はマッチングアプリで出会っていた。
今振り返ると、ペンタクルのクイーンには、仕事や生活を大切にするだけではなく、その先の暮らしまで考えている彼女の姿が表れていたのかもしれない。
もし結婚を視野に入れていたとすれば、「この人と一緒に生活していけるのだろうか」というところまで考えていてもおかしくはない。
仕事で疲れている時、二人はどんな距離を取るのか。
一方、彼には「恋人」。
「いつまでも待つ」と話すほどだから彼は彼女に真剣だ。
ただ、カードに強く表れているのは彼女への恋愛感情だ。
彼女は「この人とどんな生活をしていけるのか」を考え、彼は「彼女との恋愛を続けたい」と考えている。
そして最初に女帝が出ていることを考えると、この関係の延長に結婚を考えるとどうなる?と思ってしまう。
気持ちの強さが違うというより、二人が見ている延長線上の地点が、少し違っていたのかもしれない。
「今日は疲れているから、また今度」
二人の過去には「節制」が出ていた。
彼女はすでに疲れながらも彼と会い、彼は彼女の家事を手伝っていた。
二人とも相手を思っていたのだと思う。
でも本当は、
「今日は疲れているから、会うのは次にしよう」
思い切ってそう言い合える仲だったらよかったのかもしれない。
彼にとっては、多少しんどくても彼女に会えることが嬉しかったに違いない。
しかし彼女は同じではなかった。
愛情深さを求めていたのではなく、仕事や生活を含めた余裕がなくなった結果が引き起こしたものだと思った。
二人が距離を置いたひと月は、関係が止まった時間ではなく、彼女が体力や気力を回復し、これからの二人を考えるために必要な時間。
そして原因の位置には「星」の逆位置。
星は純粋な気持ちの共有。
二人には相手を思う気持ちはあった。
けれど、その二人がこの先どんな未来を一緒に考えていくのか。
そこはまだ経過途中だったのかもしれない。
今、未来を考えても「愚問」
未来には「愚者」の逆位置が出ていた。
このカードを見た時、
「今、この直後に彼女に会いにいく。その状況が大切、だったら先のことを考えても愚問。」
そう考えた。
まだ彼女がどんな答えを出したのかも聞いていない。
ひと月の間に彼女が何を考え、今どんな状態になっているのかも、会ってみなければわからない。
そんな時に「復縁できるのか」「この先どうなるのか」と考えても、いやいやそこじゃないだろう、愚者はそう告げている。
まず会う。
彼女の話を聞く。
それから先は考えなくてもいい。
復縁には、復縁の順序がある
そして結果には「カップの3」
カード全体を見終えた時、私は逆に少し安心した。
この日は彼女と何気ない話をして、少し笑って帰ってこられたら、それでいいのではないか。
もちろん彼は、それだけを望んでいるわけではない。
ひと月以上待ったのだから、「もう一度付き合おう」という答えが欲しい。
ただ、復縁には復縁の順序がある。
親子喧嘩をした時も、仲直りした瞬間から何事もなかったようには戻るはずもなく、少し隙間風が吹いた感覚に陥る。
ただ親子には、長い時間の間に築かれた、「言いたいことを言っても関係はなくならない」という環境設定になっている。
恋愛は、なかなかそうはいかないのだ。
だから焦らず、今日答えが出なくても落胆せず、少しずつ関係を戻していけたらいい。
そして、以前とまったく同じ関係ではなく、
「今日は疲れているから、また今度にしよう」
と信頼し、自然に言える二人になれたら…。
最後に「節制」に目が行った。
急ぎすぎたらあかん。彼女はまだ回復途中かもしれない。
そして彼は、
「仕方ないですわ。」
と言って帰って行った。
その日のカードは、結果のカードだけを見てどうなるかというより、そこへ辿り着くまで何が必要かを示していたように感じた
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関係には、時間をかけることで育つものもあれば、長く続いていても同じ場所にとどまるものもあります。
