紫微斗数には「武曲」という星がいる。
武曲は断固とした決意で素早く行動する、侍のような星である。
そして「天相」という星もいる。
穏やかで慎み深く、周囲を支えることを大切にする星である。
この2人は洗剤メーカーに勤めていた。
武曲は新製品のプロジェクトリーダーを任されていた。
新商品は、外食先でも使える携帯型のシミ抜きペンだった。「こんなのがあったらいいな」という主婦の声から生まれた企画である。
この商品は大ヒットすること間違いなし、と武曲は意気込んでいた。
同じころ総務の天相は多忙さに頭を抱えていた。
いつも助けてくれる「天梁さん」は骨折でしばらく休職だった。そして新人の「天同さん」と「貪狼さん」の面倒も見なければいけない。このプロジェクトが終われば通常運転に戻れるはず、そう信じてひたすら業務と向き合っていた。
武曲は意気揚々と総務の扉を開けた。
「悪い、急なんだけど、明日の会議で使うパンフレットを500部お願い。それとメールの集計、役所への連絡もメールで送ってあるから確認しておいて。」
と、次々に仕事を振ってきたのだ。
「あの、頑張って間に合うようにします。でも新人の天同さんと貪狼さんはまだ入ったばかりで、こちらも手が足りないんです。」
と天相は状況を説明した。
しかし武曲は少しも迷わずに言った。
「みんなそういう時期を経験してる。自分の仕事には責任を持とう。プロとしてやり切ろう。」
天相は我慢の限界が来てしまった。
「今までどれだけ武曲さんはみんなに助けられてきたか。全くわかってなかったんですね!」
武曲は、自分が徹夜してでもやり切る覚悟があった。だから相手も同じようにできると思っていた。
一方の天相は、仲間と支え合うことが仕事だと考えていた。
同じように真面目でも、仕事への向き合い方はまるで違っているのだった。
