紫微斗数では「紫微」という星がある。
穏やかな人柄で品格があり、人をまとめる統率力も備わっている。
つまり紫微は王様のような役割を持っている。
そして天機という星もいる。
天機は参謀の星といわれているが、
一つの答えが出てもそこで思考が止まらない。
安定した答えに落ち着くより、先々の見通しを立てることで安心する。
その日紫微は、子供の進路を決める最終段階に来ていた。
紫微は苦学の末に自分の会社を立ち上げた人だ。
子供には自分のような苦労はさせず、才能を伸ばしてあげたいと考えている。
紫微は、友人知人の関係先からリサーチし、
色々資料を集め、環境を優先した第一志望を最後まで検討した。
「好きなことを学ばせて趣味を続けさせてあげよう。」
ようやく紫微は決断したのだった。
そして塾の面談日となったある日。
「天機先生、子供にはこの学校を第一候補に決めました。」
紫微は考えの経緯を丁寧に伝えた。
すると天機はパソコンを開き、長年集めてきた資料を静かに見直し出した。
天機は、
「他にもっと良い学校はないのだろうか」
「別の学校ならもっと、この子の才能を伸ばせるのではないか」
と考え始めた。
そして天機は口を開く。
「紫微さん、他にもっと良い選択肢がありますよ。」
天機には話を一旦分解して考える癖がある。
紫微は十分に考え抜いて判断したつもりだ。
だからこの時少し、心が揺らぐ。
自分の判断は甘かったのかと考える。
紫微は子供の進路を決断することが自分の役割だと考えてた。
天機は、決断そのものに反対しているわけではない。
よりよく改善するのが自分の役割だと考えている。
天機は、相手を否定しているつもりはない。
「もっと良くなる方法が見えてしまう」
だからこそ改善のための一言を添えたくなってしまうのだ。
自分の役割を果たそうとしているだけだった。
