ある時、ご夫婦で来られた男性がいた。
最初は家の購入についての相談だった。
「東向きと東南向き、どっちにしようか迷っています」
話はそれから続いた。
娘さんには子供が生まれる予定がある。
そして娘さんも家探しを始めている。
それもまだどこに決まるかわからない。
将来、孫が産まれて遊びに来ることを考えると、
今より広い家の方がいいと思っている。
それから話はまた続き、
男性は自営業をされていて、仕事についても、
利益にならない会社との取引は整理したいと思い始めている。
そしていつか引退した時、夫婦で店を開くことも考えていた。
どんなお店にするかはまだ未定。
そして、話の最後には、
「もし、隣の家が売りに出たら、それを買うという手もあるんですけどね。」
ということになった。
「東向きか東南向きか迷っている」
そんな話から始まり、
気が付けば孫の話になり、
そして仕事の話になっていき、
最後は夫婦の老後の話になっていた。
更には新しい家の購入には、1億近くの借入もできる。
「借りることはできる。」
だけど隣の家が売りに出るかもしれないし、
娘さんの家もまだ決まっていないし、
店を出す話もこれからだ。
話はあちこち飛んでいるように思えたけど、
この話は一本に繋がっている。
今後の人生の設計だ。
結局東向きか東南かは決まらなかった。
帰り際、男性は奥さんに向かって
「じゃあそうしようか」
とホッとして安心したように言った。
もちろん私は占っている。
ただ、もうすでに重い荷物を背負い続けて来た人が、
もうそろそろ荷物を下ろしたい時期に入っていた。
